記憶術は、洋の東西を問わず、人類共通の夢の一つです。
人間の記憶の容量や質には、自ずと限界があります。
誰しも自分が見聞きしたことは、その直後には鮮明に覚えているものですが、やがて、
そうした記憶は、時間の経過と共に、次第に薄れていくのが自然な状況です。
しかし、ごくたまに人並み外れて記憶力に勝った人や、遥か昔の記憶をまるで昨日のこと
のようにスラスラと思い出すことが出来る人がいたりするのも事実です。
そのような人たちは、一般的に「記憶力」に優れていると見なされるわけですが、ある意味では、「特殊能力」であり、そうした能力を上手く使えば、仕事や生活のさまざまな場面で自分を有利に導くことも可能です。
たとえば、試験対策などがその好例でしょう。
古くは、古代中国の人材登用試験として名高い「科挙」をはじめ、古今東西、すべからく試験というものは、その大半が記憶量の大小を問うことにより、成り立っているものだからです。
それゆえ、その対策にはいわゆる「丸暗記」が有効な手段であり、“先人の智恵や英知を効率よく習得し、自らの知識とならしめる高度な技能”への欲求は、時代を経る毎に高まってきました。
このように、人材登用や人事考課のための試験制度の対策として、「記憶力の向上技術」への期待が高まったことから、「記憶術」というスキームが生み出されたわけです。
さらに、時代が下るにつれ、現代の予備校にあたる私塾において、それぞれの受験テクニックとして、独自の「記憶術」のノウハウが研鑽されることになり、華道や茶道の家元制度のように、「記憶術」においても「○○流」という流派を構えるまでの隆盛を極める結果となりました。
つまり、「記憶術」とは、「記憶力」を高めるためのテクニック(技術論)というわけです。
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